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HOME木の話(目次)>12.日本の家具と外国の家具
12.日本の家具と外国の家具
<プロローグ>

■外国製の家具<板の構造> ページ1/2

<前ページよりつづき>
 以前テレビ番組で、19世紀のイギリスの工芸家ウィリアム・モリスを取り上げたものがあった。彼は1920年、50人の職人を集めて手作り工房を作り、手造りのものの良さを残していくための「ハートオブクラフト運動」という活動をおこした。
 当時の時代背景は、産業革命によってとにかく大量にものが作られる時代だった。大量に新しいものを作り、古いもの、壊れてしまったものはすぐに捨ててしまう。まさに近年の日本と同じ様な状況が、100年も前のヨーロッパでは起きていたといえる。
 そんな時代背景のなかで「手造りのもののよさ」を残していくための活動を行ったのがウィリアム・モリスだ。彼が始めた「ハートオブクラフト運動」の中に、「アンティークリストア(アンティーク家具の修理・再生のため)の条件」というのがあるので紹介したい。

「アンティークリストアの条件」
■16世紀に作られた家具を直すには、16世紀の古材を使う。釘一つも同じ。(古いものでリストア不可能な家具も、修理用に保存しておく。)
■修理をするには、まず初めにその家具を作った人の気持ちになる事。テクニックはその次である。
■”新しい家具”と”古い家具”とがあるのではなく、”いい家具”と”悪い家具”とがあるのである。

  近頃日本でもアンティーク家具が流行り、イギリスなどヨーロッパから沢山輸入されている。今、当時の古いものが日本に入ってくるという事は、その当時きちんとしたものが作られ、何世代にもわたって人々に愛されてきたという事だ。しかもそれらは、今日でも修理して長く使うに値した商品である。
 当時のその活動によって、古くなった家具も壊れた家具も捨てられずに残っている。釘一本でも大切に残された事により、修理が必要な時はそれらを使うことが出来るのだ。もし、100年前にそんな活動が起きていなければ、当時の家具を当時のままに残すことは出来なかっただろう。それは材料だけでなく”職人の技術”にもいえる事だと思う。今現在家具に限らず我々がアンティークのものを手に入れることが出来る状況というのは、言い換えれば、その当時の職人と技術、そしてその良さを理解して大切にしてきた使い手が残したものの恩恵にあやかっている状況といえるのではないだろうか。現在、アメリカや日本と違い、ヨーロッパに古くても良いものが沢山残っているのは、100年も前の産業革命などにより新しいものどんどん作ってどんどん捨てるという過ちを一世紀も前に犯し、その中に時代に逆行するウィリアム・モリスのような存在があったためだと思う。

 日本は戦後の高度経済成長とバブルによって、とにかく色々なものが大量に生産された。家具や住宅に限らず、何から何まで、とにかく”作れば売れる”という時代だった。そして人々も古くなったもの、壊れたものは捨て、新しいものを手に入れた。 しかし、僕個人の考えでは、やはり「木」に関するものは大量生産してはいけないのではないかと思う。木は成長し成熟し、伐採され、製品になる。山や森には自然のゆっくりとした時間の流れがあり、一つの自然を壊さずに維持していくためのゆったりとしたひとつのスパンがある。伐採され、商品になるスピードは、一方的な人間のペースでしかない。しかも日本には、いいもの、長く愛されるものを造り大切に使ってもらう、使う側も大切に扱う、というヨーロッパではあたりまえの考え方が無くなってしまった。勿論、桐のタンスのように古くなったものをまた削り直して長く使うものもあるが、こういった物は今の日本では稀である。ウィリアム・モリスが今から約100年前に運動をおこし、それが今日でも根付いているという点を考えただけでも、日本人の”家具に対する考え方”が100年遅れているのがわかる。 この遅れが100年で済むように、我々も考え方を改めなければいけないのではないだろうか。
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